【レポート】東京都 子供トラック自転車スクール参加レポート

「令和6年 能登半島地震」で被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。度重なる報道を見ていると本当に圧し潰されるような感情が去来します。特に一昨年お世話になった能登島コミュニティセンターが避難所になっているとのこと…。いまこの時点で出来ることは多くありませんが、当サイトも皆様の御心に寄り添い、皆様と共にありたいと思っております。どなた様も引き続き余震が続いておりますので、先ずはくれぐれも安全にお過ごしください。〔1月5日〕 

子供トラック自転車スクール参加レポート

 5月15日(日)に東京都立川競輪場で行われた東京都自転車競技連盟(TCF)主催「子供トラック自転車スクール」に勉強の為に行ってきました。これは今年1月に伊豆で行われた「JCF登録者安全講習会 兼 平成29年度全国自転車競技指導者研修会」に参加した際、講師であった東京都自転車競技連盟の松本敦普及副委員長の「東京都における普及の取組」に感銘を受け、ぜひ一度東京都が行っている自転車普及の現場(とりわけ子供対象の自転車学校)を見学したく、今回その申し出にご快諾頂き見学をさせて頂くこととなった。

 

子供達に優しく語りかける「東京都自転車競技連盟普及委員会 松本敦 副委員長」 

現在の都車連普及委員会の取組

 現在のTCF普及委員会では、有償・無償の自転車学校を都内を中心に様々な場所で行っている。主なイベントの内容は下記に記載する… ※各イベントをクリックすると都車連HPの各概要へLinkする。

 


 【子供向けイベント】

 ・子供のための自転車学校 

 ・補助輪はずし大作戦 

 ・ケルメス(模擬ロードレース) 

 ・フレンドリーロードレース 

 ・パンプトラック自転車学校(ダートトラック)

 ・シクロクロス自転車学校

 ・子供トラックチャレンジ 

 ・親子ブルべ

 

 【大人向けイベント】

 ・大人のための自転車学校 ・インストラクター講習


 

 このように、子供向けには段階的にレースが出来るようにコースを設けられている他、ダートのMTBやBMX、シクロクロスにも対応できるように専門性の高いカリキュラムも設けられている。また、年齢問わずこのイベントが人気なのは松本副委員長を始めとしたインストラクターチームが非常に高いコーチングスキルを持っており、高いスキルを身につけることが出来ることはもちろんのこと、子供達の笑いが絶えない明るい雰囲気が人気の大きな魅力の一つだと感じた。

殆どのイベントが、自治体や団体等の補助を受け行われているため無料(保険料のみ)で受けられる。それは各支援団体からこれらのイベント運営への信頼・価値が高く評価されていることの裏付けでもある。

ここまで書いたのはTCFイベントの一部ですが、もし長野県でも興味のある方がいたら是非一度参加をオススメ致します。

 

子供トラックスクール 当日の様子

 ここでは、当日行われたイベントの内容を紹介して行きたい。急いでメモをしたので実際とは人数などが少し違うかも知れないがご容赦頂きたい。

 

イベント名:子供トラック自転車スクール

日時/場所:5月13日(日)立川競輪場

参加者 : 17名(小学校低学年:5名 高学年:8名 中学生2名 高校生2名)

 

〔講義内容〕

 ・受付/事前説明(会場・バンク内での約束事など)

 ・開校式

 ・三本ローラーチャレンジ 

 ・ピストバイク説明

 ・競輪場内(トラック)実走

 ・トラック1周タイムトライアル

 ・レース見学(ポイントレースのルール解説)

 ・閉校式

 

 

〔事前説明〕

 生徒は受付と同時に、今日やる内容についてや競輪場内でのマナーやルールなどについて説明を受けた。また、子供達は実際のレースのように受付時に自分のサインを署名した

スタッフ9名より子供達と父兄が今日の説明を受ける。

〔開校式〕

 開校式では、松本敦校長が子供達に優しく語りかけながら生徒たちのコンディションを確認。また、元プロ選手でポイントレースで日本と豪州のナショナルチャンピョンになった吉井 功治コーチが生徒達にバンクの説明などを行う。

吉井コーチがバンクの各名称やどこを走れば速いか?など説明して行く

 

〔三本ローラーチャレンジ〕

 これを読んでいるホビーレーサーの方、突然ですが三本ローラーってどんな印象がありますか?自分も自転車に乗るようになって、三本ローラーを意識し乗れるようになったのは初めてロードバイクを買ってから実に7年後のことでした。それだけ初心者にとっては敷居の高さを感じる三本ローラーですが、ここではいきなり三本ローラーに乗ります。何故なら三本ローラーは自転車操作の「感覚」を養うのに最も適している練習と考えているからです。

 

抑えていても自転車にさえ乗れない子もいたが、5分後には殆ど皆がマスターしてしまう。

 

 初めて乗る子が多い中で、最初は自転車を抑えガッチリ固定してあげても自転車に上がれない子も多くいた。しかし殆どの子供が5分もしない間に乗れるようになった。勿論子供の適応能力の早さもあるのだが、上記の写真を見ると補助員は実は子供の身体には触れてはおらず、走行中倒れないように手を添えているだけ。ここに秘密があって、自転車や身体を支えてしまうと逆に独走の感覚が養われず、結果として遠回りしてしまうそう。下の女の子も補助者はサドルを支えてはおらず手を添えているだけ。

 

驚くのは、24インチ用など子供の様々な自転車サイズに適応できるように三本ローラーを改造している。

 

上記の三本ローラーも非常にホイールが小さいものだが、三本ローラーのバンドも3種類用意されておりどんな自転車が来ても対応できるような工夫がされている。

 

〔ピストバイク説明〕

 当日参加した子供達の全員がロードバイクでの参加となったが、吉井コーチによるピストバイクの説明が行われた。子供達は普段と違う自転車に興味深々の上、吉井コーチの現役時代のピストにまつまわるおもしろエピソードに真剣に耳を傾けていた。

 

元日本代表のパフォーマンスに子供達から「すげー」と声があがる。

 

〔競輪場内実走〕

 いよいよ子供達のお待ちかね競輪場内を走ることになった。生徒達は基本的に年齢別にグループ分けされ先ずは「平坦をのんびりと走る」所から練習が始まり、グループのレベルに応じて「一列棒状での走行」や「先頭交代」「バンクの上部の走行」などを行っていた。

 

5~6名程度のグループの先頭と後方にスタッフ2名がしっかりサポートで安心。

最初のうちは走るだけで精一杯だったが、何時の間にか先頭交代をこなす

終盤ではしっかりとスプリンターレーンをキープしながら走っている驚きの上達ぶり

 

場内に入ってからの子供達は、最初こそ走りにぎこちなさが目立ち。緊張からか?すぐにバテバテになってしまう子も少なく無かったが、少しインターバルを挟むと今度は目覚しい進歩を見せ始めた。お互いを思いやって走ることでグループ走行の意識が芽生え始め最後はしっかりとバンクを走れている。皆が自信を持って走り始めているのを感じた。本当に全国の高校の新入生はここで皆が合同トラック合宿をすべきと思った。

 

〔トラック1周タイムトライアル〕

 イベントの最後のプログラムはトラック1周のタイムトライアルを行った。各自がこの日学んだことを思い思いに試しながら走っている。そんな姿が見受けられとても微笑ましかった。初めて競輪場で自転車に乗って1周したことは子供達にとってもずっと忘れられないイベントとなったことだろう。

驚いたのは皆が自信を持って走り始めていた事と、学んだことを試したいという意図をもって走り始めたこと

多くの子供達がレース後に出し切ったような顔をしていることが印象的だった。

 

〔レース見学〕

 この日は、たまたま「東京都のトラック記録会」が行われており、ちょうど折よく吉井コーチの得意種目であるポイントレースが始まりルール解説を行いながら観戦することになった。子供達の殆どが初めて見る種目で多くの質問やコメントがあがっていた。

子供達は金網ごしにポイントレースを観戦した。

 

〔閉校式〕

 最後に松本校長による好評が行われた。「今日は楽しかったですか?」の語りかけに生徒達の元気の良い返事がこのイベントの意義と成功を物語っていた。この中から次世代の選手・コーチが生まれて来ることを祈ってやまない。今回見学をさせて下さったTCF普及委員会のスタッフの皆さん、参加者の父兄の皆さん、そして参加した生徒の皆さんに深くお礼を申し上げます。

最後は記念撮影。いつまでも自転車を好きであって欲しいと願い止まない。

 

 

水色のビブスは厳しい指導者研修を修了した者の証

 TCF講座レポートいかがでしたでしょうか?松本副委員長を中心とした普及委員会の皆様の取組は本当に素晴らしく、何時か見学に行きたいという願いが叶いました。この講習会の秀でたところは10年間の蓄積を持つ優秀なコーチ陣です。

指導方法だけで無く、パイロンの置き方一つにも実戦に裏打ちされた意味がある。指導者研修ではただ座学研修だけでなく、数回のイベント参加(実地研修)も義務付けられているそうです。また、単にコーチのスキルだけでなく指導者として最も重視されるのは「人柄」だそうで、それがこの高い水準を保つと聞けば本当に納得でした。

コーチ陣が着るこの「水色のビブス」は本当に厳しい研修を修了した証でもあります。その話を聞いて改めてこのビブスの重さと、委員会の皆さんの情熱に感銘を受けました。

水色のビブスは厳しい研修を修了した証

 

何時か長野県でもこの講座を催したい…

そこで強く思ったのは何時かこの講座を長野県でも催したいということ。子供達・選手はもちろんのこと、特に指導者を志す人にTCF講習に参加して頂き、長野でも指導者が増えて県内の至る所でこうしたイベントが自主開催されるようになればと思います。

折よくJCFは、ここで生まれたノウハウを活かして「全国共通の指導カリキュラム」を作りました。その元となるテキストが「スポーツサイクル基礎スキル」(著者:松本敦副委員長)まだこれに対応している県は殆ど無いと聞いているので、長野県もいち早く取り入れられるように「サイクリング長野ドットコム」もその発展に寄与して行きたいと思います。

 

JCFの新しい試み「基礎スキルカリキュラム」全国共通の指導要領が生まれた。

このテキストですが、既に自分の手元にはありません。本当は県内全ての高校・大学チームに配布して見て欲しい物なのですが現状ではままなりません。大変申し訳ありませんが希望の方はJCFに問い合わせて下さい。

 

そう遠く無い未来に信州でもTCF講習が出来るように…

 

松本副委員長のオススメ書籍

 なお、松本敦コーチから読むように勧められた本があるので共有します。少し内容を見たのですが、長野県内の大学選手達・クラブチームのエリート選手にはおそらく非常に参考になるのでは?と思うので興味のある選手は手にとって見て下さい。

 

 

 

 

 

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関連Link

東京都自転車競技連盟普及委員会

TCF普及協会自転車学校について