コモンウェルスゲーム遠征レポート⑤ -マウンテンバイク編-
4月4日から15日まで11日間にわたって行われた英連邦のオリンピック「第21回コモンウェルスゲーム」。今回は大会第8日目の4月12日に行われたMTBのクロスカントリー競技についてレポートをして行きたいと思います。
お恥ずかしながら、自分は今まで国内外問わずMTBの競技会に行ったことが無く今回が初のMTB観戦となりました。ただ、この観戦の遡ること一週間前に奇しくも東京でMTB&BMXの3級審判員研修会に参加していたので非常に良いタイミングでMTBの大会を観ることとなりました。
MTBを長くやられている方には怒られてしまうかも知れませんが、素人ながらのレポートをご覧いただければ幸いです。
初マウンテンバイク観戦!
今回のコモンウエルスゲームでは、トラック種目・ロードタイムトライアル(後日レポート)に続く3番目の自転車競技イベントとなったMTBは、ゴールドコーストへの鉄道の玄関口であるネラング地区で行われた。今回はゴールドコーストから約100キロ北の州都のブリスベン市に宿をとっていたため当日は電車で会場へ向かった。
ネラング駅起点の競技は多く駅は早朝にも関わらず大混雑していた。
駅からは各会場へ無料シャトルバスが出るのだが、とにかく当日は現地で人気のネットボールの試合があり、普段早朝には殆ど人気の無いネラング駅が大混雑!!一方、MTB会場に行く観客が少なくて最初は本当に大丈夫か?少し不安になりながら大型バスに自分も含めて10人位で会場へ…。途中シャトルバスが交通規制で締め出される(なんで?)と云うハプニングもありながらも会場到着。
左ネットボールへ行く観客が長蛇の列を作る中、右のMTB行は閑散…不安になる。
到着したがボランティアばっかりで観客がいない!
MTBならではの観戦者への配慮
今回のコースは、ネラング地区に常設のトレイルコースを使い、近くにある地元の野外ベロドロームをスタート・ゴール地点にしてその場所を有料観客席としていた。因みに有料観客席は日本を出る前には完売していて当日券も無かった。それ以外のエリアは無料で一般開放され誰もが観戦されるようになっていた。
会場マップ:紫の線は角度が急な上級者向け 緑は年配の方でも見られる平らな場所(クリックすると拡大)
先ずMTBと云う競技を見たことが無いのでトレイルコースに行くのだが、興味深かったことが、急斜面のある観戦エリアをトレッキング上級者向けコースとして「紫のリボン」でマーキング。一方で「緑のリボン」でマーキングされたコースは平坦なエリアで年配者や家族連れとされていた。こうしたMTBはこうした細やかな配慮があるのか?と非常に良い勉強になった。
緑のリボンは平坦で誰もが観戦しやすいコース
紫のリボンは急な坂があるコースであることを観客に教えている。
この目印のおかげで、雑木林内を自由に歩くことが出来る。こうした配慮が当たり前のようにされているMTB業界と云うのは安全対策の面から見ても本当に素晴らしいと思った。
また、今大会はセキュリティが厳しく特に液体を会場内に持ちこめないという話をしたが、逆に会場内には水筒さえ持って来ればどこでも無料で水を汲める場所があった。特にMTBは山深い場所と云うこともあり、各エリアに無料の給水場が設けられていた。2020でも場内販売保護もわかるのだが、願わくばこうした安全にかかわる会場では飲料水を提供するようにして欲しい。因みにこの給水設備はロードレース会場や各スタジアム内にも用意されていた。
実は正午頃から日差しがきつくなり長蛇の列が出来る
レース会場を歩く…
そんな訳で、レース前に会場に到着すると人が殆どいなくてほぼ一人で登山開始!長野県民なのでオージーに登山で負けるか!と、紫のリボンを追って行くが全然人がいなくて不安になる。
会場到着!実は先週JCFのMTBとBMXの3級講習を受けました。その僅か一週間後に縁あって、しかもMTBレースを人生で初めて観ることになりました。とりあえず今は自分が地球のどこにいるかよく分かりませんが、蛇よりも火蟻に注意しなが遭難しないように頑張ります。 pic.twitter.com/wwLBdkorwR
— サイクリング長野.com (@cyclingnagano) 2018年4月11日
登山しているとたま~に、ボランティアや試走している選手がいるがとにかく不安。コースとは言え熱帯地域だから毒蛇もいるし、なによりFir ant(火蟻)とかRed Backs(セアカゴケグモ)がいるんですよ!さらに、ここにはドラゴン(オオトカゲ)と云う出くわすと非常に心臓に悪いものもおるので一人がとても不安でした…
人がいなくなり山がどんどん深くなる
たまに茂みの奥にボランティアやTVクルーがいる
そんなこんなで、頂上付近にたどり着くと今度は警察(白バイならぬMTB警官)やレスキュー隊、それにナーススタッフがしっかりと待機していた。今大会MTB・ロード共にコース上にナーススタッフ・レスキュースタッフが多かった。これは選手だけでは無く、暑いオーストラリアで突然体調を崩す観客のためでもあった。願わくば8月の暑い時期に行われる東京五輪はもっと過酷な状況が予想されるのでこの分野での準備も進めて欲しい。
登山口から一番遠く標高の高いエリアにはレスキュー隊・ナース隊が控えていた
豪州に多いMTB警官が多く山頂付近に待機していた。
いよいよレースが近づいてくる頃には、山頂付近も多くの観客がつめかけた。上空ではTVで地上波生中継があるためにヘリコプターが旋回し徐々に緊張感が高まって来た。
気付けば頂上付近は観客でいっぱいに…
コース特徴
初めて見るMTBのクロスカントリーコースだが、このコースの半分が急斜面エリアで、もう半分は平坦ながら細かいカーブとアップダウンが連続しているように思えた。特に昨今のMTBはジャンプエリアを多くして見栄え(TV映りなど)を良くすると聞いていたが、そんなレイアウトの印象を受けた。また一か所非常にテクニカルな「崖ごえ」エリアもあり多くの選手が登る際には下車して、また下りではここで転倒して大けがをする選手もいた。
所謂「ガレ場」を押して歩く選手達
「ガレ場」エリアは下りで転倒して動けなくなる選手もいた
ガレ場を下るとくねくねとした長い下りだが、下は落葉など無く綺麗だと感じた。
平坦は細かなアップダウンとジャンプ台が多く設けられていた
また小さいコーナーが沢山設けられていて非常にテクニカルな印象を受けた。
レースは男はNZ・女子はイングランドがワンツーフィニッシュで強さを見せた。
スタート・ゴール地点は地元のベロドローム(ベロ内が有料エリア)
MTB公式リザルト(公式HP)
初MTB観戦感想
ふたを開けて見れば大盛況だったMTB。場所柄どうしても山の中になってしまい危険もあったが、主催者が安全に楽しく観戦させようとした工夫が随所にみられ普段はオンロードとシクロしか観ない自分にはその細やかな心遣いとホスピタリティに心を打たれた。
いかんせんMTBは初めて観る素人で、関係者の皆さんにはあまりフィードバックは出来なかったかも知れないが、今度は日本で是非MTBを観戦に行って応援することで盛上げて行きたいと思います。特に信州には先日のアジア戦に日本代表として戦った9名の精鋭もいる。そんなMTBの将来を感じながら…
サイクリング長野は今後もMTBの普及のお手伝いをして行きます!
いつかこのコースをMTBで走ってみたい…
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コモンウエルスゲーム公式HP(英語)
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