もくじ
〔告知〕令和元年募集「マウンテンバイク フィールド助成金制度」応募は12月31日まで。
先日の信州クロス南信州ラウンドの宿舎で、南信州の各イベントオーガナイザ、MTB関係者の方、地元チームのボンシャンスの方々とお話をした際に話題にあがった自転車協会主催「MTBフィールド助成金制度」について。少し話が盛り上がったので、長野県内でMTB・BMX等オフロード自転車による地域活性をお考えの皆様に情報共有としてお知らせをいたします。記事の後半は「ちょっと思うこと」を書いています…
マウンテンバイクフィールド助成金制度のあらまし
日本は国土の2/3が山林というマウンテンバイクに乗るには適した国です。ところが、実際にマウンテンバイクに乗れるフィールドはまだまだ少ないのが現状です。一般社団法人自転車協会は、多くの人々がマウンテンバイクをもっと身近に楽しめるような場所を増やすため、そのフィールドにおけるコース(パンプトラックを含む)の新設・増設、保存、管理、運営に対して経費の一部を助成する「フィールド助成金制度」を設けました。よりマウンテンバイクに乗りやすい環境を作るために、是非ご応募をお待ちしています。
一般社団法人 日本自転車協会
募集概要
1.概要不特定多数の人がマウンテンバイク(その他オフロードバイクを含む)に乗ることができるフィールド(パンプトラックを含む)の新設・増設や保全、管理、運営といった事業に対して助成金を付与する。
2.助成対象事業「土地、施設が国または自治体に属する」または「地権者の合意形成に係る意見調整や、管理、運営に自治体が関与しているもの」であり、「誰もが利用できる公開されたフィールドであること」且つ「イベント等のための一時的なものではなく、年間を通じて常設されるもの」等
3.助成金交付対象者前に掲げる助成対象事業を行う団体等であって、助成対象事業を確実に遂行できる見込みがあるものとする。
4.交付対象経費フィールドにおけるコース(パンプトラックを含む)の新設・増設・保全、管理、運営に直接係わる費用
(人件費、備品費、消耗品費、レンタル費、造成費、修繕費)
5.助成額・比率新設・増設を行うフィールド…当該費用の1/2または100万円の何れか低い額を上限とする。
既存コースのみで運営するフィールド…当該費用の1/2または50万円の何れか低い額を上限とする。
※過去に本助成金制度の対象となったフィールドは新設・増設、既存コースのみの種別に係わらず当該総事業費用の1/2または50万円の何れか低い額を上限とする。
6.助成期間2020年4月1日~2021年3月31日の1年間
7.募集期間2019年10月31日~12月31日(当日消印有効)
8.応募方法要項の内容を理解の上、必要書類を下記までお送りください。
<応募先>
〒107-0052 東京都港区赤坂1丁目8番1号 赤坂インターシティAIR9階
一般社団法人 自転車協会「フィールド助成金制度」係
詳しくは「令和元年募集 助成金交付要綱(全文)」をダウンロードしてご確認ください。
※要項の内容が昨年度と一部変更となっております。
また、書類の不足、記入漏れがあった場合、不受理になりますので十分ご注意ください。
●本件に関するお問い合わせ先
一般社団法人自転車協会 業務部 TEL.03-6230-9892
※受付期間:2019年12月26日(木)までの平日 10:00~12:00、13:00~16:00
詳しくはこちら(自転車協会HPより)
サイクリング長野より
自分はMTB・BMXは専門外なのですが、今年はオフロードの方と数多く、お話しする機会があり、これを機にオフロード競技について思うことを綴りたいと思います。
BMXの国際基準施設は県内(国内)に必要か?
個人的には必要だと思います。特に今年はBMXの方々と様々な意見交換が出来て驚いたのですが、とにかく「BMXレース用のスタート台」(国際基準を満たすもの)が日本国内に1か所しかないということ。また、長野県内に関してはBMXの国内公式戦が行える施設(所謂:パンプトラック)が一つも無いことを改めて知りました。同時に、長野県には年間の国内BMXシリーズに通年参戦している選手がほぼゼロと云う現実。
流石にいきなり、BMXの国際規格・国内規格のパンプトラックスタジアムを作ることは無理だとしても、このまま何も無い長野県ではBMXの選手を育成する土壌が全く育たない…。これを一つ問題提起としたいと思います。
BMXの優れている所は、この競技を幼少期にやっておくと、将来どの自転車競技に進んでも「自転車操作技術」や「バランス能力」「基礎体力」の他に、「空間認識能力」等の向上も言われています。日本の自転車強化の視点から見ても、こうした能力を幼少時から身に付けている選手の育成は急務かと思われます。もちろん施設面でも五輪後に、国内(県内)に国際基準の施設があることが理想ですが、先ずは子供達が気軽に遊べるパンプトラック等が、長野県内どこかの市町村に出来ることが現実的に必要かと思われます。
都車連自転車指導者講習会の実技で抜群のスキルを見せるのは
BMXの奥山大翼選手。ロードやトラック経験者とは
比べ物にならないBMX選手ならではのスキルを持っていた。
日本代表の長迫選手しかり、BMXから学ぶものは多いかも知れない。
MTBの国際基準施設は県内(国内)に必要か?
これは凄く難しい問題だと思います。個人的に昨今の世界選手権・W杯が行われるような極端なコースが長野県内に必要かと言われれば、答は「△」です。BMXは極端にいえば都市部に人口のコースを作ることで開催出来ます。ただ、MTBは里山や固有の自然に手を入れないと行えません。先ず現在のMTB競技で主流となっているような高難度の「岩場セクション」や「ジャンプ台」を信州固有の自然の中に人工的に作ることは是か?非か?これを問いたいと思います。強化と云う視点だけでみれば、国際基準の施設はもちろん欲しいのですが… それを仮に県内に作った場合のランニングコストと費用対効果を考えれば、答は「△」となります。
また、長野県内のMTB施設といえば「白馬岩岳リゾート」・「富士見パノラマリゾート」に代表されるような、既存のスキー場の夏場の活用方法として、全国から多くのサイクリストが訪れる施設が県内にあることも見逃せません。これらは「MTBの普及」「一般の方へのスポーツレクリエーションの提供」「経済的効果」と多様な価値と役割を信州にもたらしています。こうした状況で先ず長野県内に本当に必要な環境は何か?を改めて考える必要性があると思います。
白馬岩岳MTBパーク
(この夏、様々なお話を聞かせてもらったのですが忙しすぎて記事に出来ませんでした…)
初心者でも走れるようにSTEP1から練習できるような施設があった。
レンタルバイクや、更衣室なども充実。都心からの高速バスも止まり
手ぶらで行ってもMTBを一日楽しめる。
MTB・BMXの未来と施設…
今年の春先に、代々木オリンピックセンターで行われた学連主催「サイクルツーリズム・シンポジウム」で、自分がオーストラリアの選手団にこんな質問をしました。「現在オーストラリアで自転車競技人口は増えているか?減っているか?」また「AFLやNRL・クリケットと言った国内メジャースポーツに比べて自転車競技の人気はどうか?」と質問しました。すると、MTBに関して興味深い考察が出てきました。「MTBは10年前に関して半分以下の競技人口になっている…」とのこと。これは、後で知ることになるのですが日本国内でも競技人口の低下は同じようです。
日本国内にいると、「世界的にMTBが人気…」とメディアは言いますが、海外に長く住んでいた自分からして、MTBの人気(観るスポーツとしての自転車競技全体)はかなり下がっている気がします。これは、日本国内のMTB・BMX界も同様のようで、今年のMTB日本一を決める「全日本選手権MTBの高校生女子(女子Jr)」のエントリーは全国で僅か1名でした。長野県内には、安曇野と白馬にMTBクラブがあって一見としては子供達が多く競技を行っているように見えるのですが、未来を担うであろう重要な高校生カテゴリーの全国大会にエントリーが1名だったというのが現実です。国内のBMXも大会によっては10年前に比べて大会に出場する参加者が1/3位になったとの報告も聞いています。
そんな状況下、繰り返しになりますが、国際基準の施設の前に、先ず子供達が気軽にMTB・BMXで遊べる施設をいかに増やして行けるか?が、世界と戦うよりも先ず取り組むべきことかと思いますが皆さんはどうお考えでしょうか?
2018年のコモンウェルスゲームの時の会場行きシャトルバス乗り場
左:ネットボール会場、右:MTB会場。
トラック競技の入場料が17,500円で超満員、MTBは観戦無料なのに…
野辺山が見せた「グラベル」と云う新たな可能性
日本国内のシクロクロス発祥の地である長野県。その中でも国内外から大きな人気を集める「野辺山シクロクロス」が10周年となる今年、大きな舵を切りました。例年アジア最高峰の「UCI-1クラスの国際大会」として二日間の日程で大会が行われましたが、今年はシクロクロスの公式戦を1日にして、2日目は「グラベルチャレンジ」と云う世界的な広がりを見せるグラベル自転車(オフロード自転車)を使ったツーリングイベントを開催しました。これに関しては、運営側にも様々な事情と将来を見据えての決定で、国内でも大きな賛否両論が噴出しました。それだけ野辺山シクロクロスは確固たる地位を築いていた訳ですが、第1回の成功によってこの先の新たなるオフロードバイクの可能性を見せてくれました。
国内外から多くの参加者が楽しんだ野辺山グラベルチャレンジ
長野県の林業界が期待する?グラベルツーリズム。
今年の春先、東信で面白い提案を頂きました。それは、県有林などを使ってオフロードのロングコース(100㎞近く)を作りこれを県のサイクルツーリズムに行かせないか?。オフロードのロングコースと云えば大滝村だが100㎞近いループコース(周回コース)では無く、山から山へと言ったワン・ウェイのコースは現状の長野県内にはほぼ存在しないからどうだろうか?と云う内容。その背景には、県内の林道の多くがいよいよ人の手が入らなくなってきており、このままだと朽ち果ててしまう場合が多い。こうした林道をどう活用するか?は静かながらも大きな課題となっている。昨今のグラベルツーリングの盛り上がりもあり、こうしたことは恐らく全国で長野県しか出来ないことだと思うから、一つの検討課題として欲しい!という話しがありました。
信州人であれば「里山に入る人がおらず山が荒れている」という話はよく聞きます。とかく、MTBや流行りのトレイルランニングが山道を荒らすと云う意見も根強いですが、それとは対極にあるとても興味深い話しでもあり、もしかすると現存する県道自転車道3つに続く新たなサイクリングロードの可能性を持っているのかも知れません。
これから自転車界の新たなるトレンドとなるか?グラベルロードバイク。
長野県におけるグラベルツーリズムの可能性。
日本国内へ海外からのサイクリストの方を迎えるのであれば、この形態は海外の方々から受け入れられやすいと思います。これも学連のシンポジウムで自分が豪州チームに語りかけた「レース以外で日本に来るならば、あなた達は日本のどんな所を走ってみたいですか?」と云う質問。これに対して豪州の選手達は一応に「山」と云う言葉と「美しい風景」を口にしました。実はこの結果は、自分は知っていました。過去に豪州のとある都市の全サイクルクラブチームに日本国内のどこを走りたいか?と云うアンケートを取った際にあった二つのキーワードです。これは、当日出席していた国交省の官僚の方に、オーストラリア人の口から、自分の言いたいことを言って欲しかったので敢えてした質問です。
少し日本政府観光局をDisってしまうのですが、日本が国策としてインバウンドサイクルツーリズムをする上でのメインターゲットは「オーストラリア」であり、そこに対して売ろうとしているのが「しまなみ海道」「琵琶湖」「沖縄」だと。なるほど、日本のサイクルツーリズムのエースを揃えて豪州からのサイクリスト客を狙う。と、非常に明晰な分析であり机上の戦略では誠に正しいんですが、そもそも豪州人というのは、国土の1%に人口の99%が暮らしている。大きな都市は全て海岸にあり、ほぼ全てが海沿いに暮らしている訳です。 過去にオーストラリア人に「しまなみ海道」を薦めたり、「サイクルツアー」を薦めてみると…
Probably a lot of Australian don’t like ocean roads because as you said they live near ocean…
たぶん、君が言うように豪州人は海沿いの道が好きじゃ無い、だってみんな海沿いに住んでんだもん!
I think Taiwanese and Americans and even Europeans like to cycle in Japan because a lite of them do “long distance cycle touring”
but it’s not too common in Australia. People like cycling but not for touring, just to catch up with friends on sundays or commute to work.
台湾・米国・欧州の人は、日本のロングライドツーリングを楽しむかも知れない。
だけど、豪州人が好きなサイクリングはロングライドでは無く
仕事場への移動のサイクリングであったり、週末に友達と楽しんだりするもんだから
という回答が多く寄せられるんですよね。そもそも少し我々とは「サイクリングというもののあり方」も、感覚もズレてるんです!
では、豪州のコアなサイクリストが国外へ自転車旅行へ行く際にどこに行くのか?アンケートをとると、フランスのアルプスにサイクリングに行ってるんです。理由は二つ… 《ツールドフランスのコースを走りたいから》《豪州には高い山・山岳地帯》が無いから。だからこそシンポジウムであったように、豪州に無い、「山」と「美しい風景」というキーワードが出てくるわけです。
加えて、コモンウェルスゲームの時に片っ端から自転車屋さんを歩いてみて、グラベル自転車は確かな流行で、置いていない店は先ず無かった。もしも、今後このグラベルツーリズムの環境が少しずつ整って行くのであれば、長野県は国内においてこの分野のパイオニアになれるかも知れません。それ故に、野辺山の今年の決断は凄いな!流石、海外に住んでいた人がオーガナイザーをしていると感心した訳です。
今回は「オーストラリア」と言うキーワードが出てきていますが、豪州に関してはMTBは明らかに下火です。そこで、このグラベルロードと言う新たなオフロードカテゴリーをどう売り出して行くか?、もしかすると今後のサイクルツーリズム(オフロード)のカギになるかと思います。(もちろん、信州の山岳地帯をどう売り出していくかも…)
自分がオーストラリアで走っていた頃、毎朝走っていた朝練の道。
しまなみ海道は、我ら信州人にとっては感動する非日常的コースだし
自分もまだ3~4回しか行ったことが無いけど大好きなコース!
しかし、豪州人から見るとあまり非日常感は無いのかも知れない。
と言う訳で、
MTBフィールド助成金の話題でした。
まぁこの記事の前半はさて置き、
後半の記事…
こんなの長野県の自転車界の誰が読むんだ?
マニアック過ぎて誰が理解出来る人いるんだろか?と。
もうちょっと
3万円のホイールと3万5千円のホイールは
どっちが買いか?とか…
月間自転車雑誌のような話題を
提供しないといかんなと思う今日この頃でした。
正直、グラベルロードは乗ったことが無いので
自分は本当の魅力を知らないのかも知れません。
ただ、静かな盛り上がりがあるのは確か…
どなたかの考える糧になれば幸いです。
関連LINK
|