英連邦のオリンピック!「2018コモンウェルスゲーム」遠征レポート③-トラック競技編2-

コモンウエルスゲーム遠征レポート② ‐トラック競技編 2‐

4月4日から15日まで11日間にわたって行われた英連邦のオリンピック「第21回コモンウェルスゲーム」。今回は大会2日目から全4日間の日程で行われたトラック競技についての第二回レポートを記載して行きます。

競技の結果についてよりも主に「2020年の東京五輪」を見据えて。また、2027年の長野国体にも繋がればと願いながら、会場で気が付いたことや問題点、などについて書いて行きたいと思います。

1.トラック驚異の入場料

  ・高すぎるチケットの弊害

  ・東京五輪チケット販売への提言

  ・チケット販売の問題点

チケットに関して、書き始めたら少し熱くなって予想以上に長くなったのでトラック競技については第3回を設けます。料金に対しては様々な意見があると思いますがこれを読んで少し興味を持ってもらえれば幸いです。

トラック競技の驚異の入場料金17,500円  全日完売!

 今回のコモンウエルスゲームで驚いたのが、日本を出国する一週間前の段階で収容人数4000人のアンナ・ベロドロームのチケットが開催全4日間が前売りで全て完売したこと。そして、「午後の部(予選)」・「夜の部(決勝)」の二部構成で行われた大会のチケット料金が、午後の部(予選)が12,000円程度、夜の部(決勝)が17,500円と超高額だったことが挙げられます。

普段海外で行われるUCIのW杯トラックのチケットがいくらなのか?良く解らないのですが、今回のコモンウエルスゲーム全競技の中で17,500円は最も高いチケットでした(開・閉会式を除く)。豪州の物価自体が日本と比べて高く全競技通じて高く感じたのですが、それにしても豪州で人気のある水泳やネットボール・フィールドホッケー・7人制ラグビー(決勝でも1万円程度)と比べても破格の値段。これが果たして適正価格なのかは解りかねるのですが…

正直、普通の人の生活水準で家族でおいそれと観に行ける価格帯で無いのは恐らくどこの国でも一緒だと思います。そして、このチケット価格と云うのが思わぬ弊害を生み出します…

 

 

高すぎるチケットの弊害

 正直、事前のチケットの売行きを聞いて「あぁ人気低迷していたQLD州のトラック競技の人気が復活して良かったなぁ!」とTwitterでも呟いているのですが、いざ入場していると思わぬことに気付かされました。それは観客に…

 

子供がいない!若者がいない!のです。

 

まぁスタンドを見渡せば、ご年配の方々ばかり!普段、日本で様々なスポーツを見ていると明らかに不自然な雰囲気を感じました。しかし、冷静に考えてみれば「17,500円のチケットを子供や若者が買えるか??」これにつきます。

全然若者が観戦していない異常な状況

 

ここで、前回のレポートのアンナ・ベロドロームの設立物語に戻って欲しいのですが!2005年の時からQLD州の小学生のトラック競技人口が減っている話しをしました。その時に既に小学校低学年の部が人数不足開催出来ない状況に陥り、小学生の部はもっぱら距離にハンデを付けた「ハンデキャップレース」のみになってました…。ならば州連盟は自らの裁量で子供を一定数招待するなど未来に対する策を講じられなかったのか?疑問が残ります。

 

東京五輪へのチケット代金に関する提言

 おそらく、東京五輪におけるチケットの値段についてJCFどころかUCI・JOC・五輪組織委員会にもプライス決定の権限は無いのでしょう。その中で組織委員会は少し気になる発言をしています。それは「東京五輪は富裕層向けの高額チケット席を一定数設けて…」と言うくだり。

 確かに五輪にはここまで大量の公的資金が導入されてそれを回収しなければならない。その為に高額チケットを売ることもやぶさかでは無いと思います。ただ、今回のコモンウエルスゲームで感じたことは…

 

高い金額にして興行として成功したとしても!年配の方々だけが観戦者では競技としての未来が無い!!と云うこと。

 

 長野五輪を子供ながらに見て今年の平昌で活躍した選手は数知れません。小平選手・渡部選手・男子カーリング… こうした選手が出て来てこその五輪であり、スポーツビジネスだと思うのです。なので東京五輪では、高額チケットも大切・スポンサーへの配慮大切なのはわかるのですが!願わくば、IOCには次の世代への投資を先ずはトッププライオリティーとして欲しいものです。

残念ながら今回のコモンウエルスゲームを観て自転車に憧れて競技を始める子は殆どいないことでしょう。(本当に目先の利益ばかりを追求して本末転倒になっている例を見た気がしました)

 

トラック内に設けられたVIP席。個人的意見だが、ここは豪州だから無理に欧州のマネをしなくてもいいのに…

チケット販売問題

 2020東京五輪が行われる伊豆ベロドローム。常設1800席、仮設が1200席(最大収容人数4,500席)と公式発表されています。この数字少し不思議な気がしますが…。最大4,500人としても東京五輪のトラック種目も少なからずチケット争奪戦になるかと予想します。

そこで、今回のチケット販売について利点と難点を書きたいと思います。

 

〔利点〕 

・全席インターネット販売

・支払いはPayPal・クレジットカード

・チケットを持っていると公共交通機関が全て無料

 

〔難点〕

・チケットボックスが極端に少ない

・Eチケットなのに、紙にプリントアウトしないと認められない。

・浮遊チケットがゲリラ的に公式HPで売られるも定価の倍以上のプレミア価格。

 

良かったことは、ネット販売と云うことで夏の甲子園のような現地でのチケット争奪戦や大混乱が起こらなかったこと。リアルタイムで残り座席数が把握できたこと(これは賛否が…)。ある意味でチケット販売は多くの人にとってフェアに行われたと思います。

現地で一番不評だったのが、Eチケットなのにバーコードを紙にプリントアウトしないと認められない。これでは何の為のEチケットなのか旅行者はそもそも紙にプリントなんて出来ない。また入場の際に外で雨に降られて多くの人のバーコードが読み取れないハプニングも…

また、転売が横行。現在、日本のラグビーW杯同様に主催者による不要になったチケット買い戻し制度があったらしいが、そもそも主催者に定価で売るならばオークションサイトに出品するだろうし、少し問題を感じたのは主催者買戻しチケットをその主催者が定価の倍以上の値段を付けて売っているケースが見られた。これも解らなくはないがやってることが転売屋と変わらない…。これでは主催者のイメージ的にどうなのか?疑問を感じた。

また、Eチケットであれば記名式にも殆ど意味は無く、おそらく2020年までにはもう転売に関しては有効な手段は生まれないのでは?と思う。

ラグビーのチケット

 

長くなってきたので予定を変更してここで一度切ります。料金に関してはビジネスを優先するか?競技全体の育成や普及を優先するか?どちらの立場に立つかで大きく変わります。その中でどうバランスをとって行くのか?どこで折り合いをつけるのか?考えるきっかけになればと思います。

次回は競技内容やコミッセールについて…

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関連Link

2018コモンウエルスゲーム公式HP(英語)