もくじ
コモンウエルスゲーム遠征レポート④ ‐トラック競技編 3‐
4月4日から15日まで11日間にわたって行われた英連邦のオリンピック「第21回コモンウェルスゲーム」。今回は大会2日目から全4日間の日程で行われたトラック競技についての第四回レポートを記載して行きます
前回はトラック競技の話しから「チケット料金と普及」と云う所で少し話がズレてしまったので、今回は競技についてや運営などについてレポートしたいと思います
目次 1.大会日程と運営について ・トラック競技全日程 2.初めて痛感した世界との差 3.競技役員のオペレーションについて 4.トラック競技の感想 |
大会日程と運営について。
今大会のトラック競技は全4日間で行われました。前筆したとおり競技はマディソンとオムニアムを除いたメジャー種目と、パラサイクルの視覚障がい者タンデムを加えた全10種目で行われました。今回のオペレーションで特徴的だったのは、お昼13時~17時頃まで午後の部として予選が行われ。観客を入れ替えてから、19時頃から午後の部として各種目の決勝が行われる二部構成で行われました。
また、大会初日・二日目は主にタイムトライアルや追抜きなどの計測種目が行われ、土日に当たる大会三日目・四日目にはケイリンやスクラッチポイントレース等の競争系種目が行われました。
非常に興味深かったのは、ほぼ全戦TV地上波生放送をした影響もあり、そのプログラムの作成の仕方でした。土曜日と日曜日の兼合いか?別競技との兼ね合いか?はたまた別の意図があるのか?三日目(土曜)の夜に男子の競争系の決勝を入れたこと。そして、どのパートでも競技のトリは女子種目だったことが挙げられます。もちろんエントリー数から逆算してのプログラム作成でもあるのでしょうが、やはり生中継をしたTVとの兼合いや集客的な要因も大きかったように思えます。しかしながら、運営は非常にスムーズで競技間に挟む表彰式も良いアクセントとなり間延びした印象を観戦者に与えることは一切無かったことは本当に素晴らしかったと思いました。
会場ではボランティアお手製の案内板がとても便利だった
【トラック競技の全日程】
大会初日 4月5日(木)
午前の部(14:30~19:10) | 午後の部(19:00~22:00) |
・男子団体追い抜き予選 ・男子チームスプリント予選 ・女子パラタンデムスプリント予選 ・女子団体追い抜き ・女子パラタンデムスプリント準決勝 |
・女子チームスプリント予選 ・男子パラ・タンデムTT決勝 ・男子団体追い抜き決勝 ・男子チームスプリント決勝 ・女子パラタンデムスプリント決勝 ・女子団体追い抜き決勝 ・女子チームスプリント決勝 |
〔初日の主な記録〕公式新記録(大会公式HP)
◇男子4km団体追抜き 豪州代表 3:49.804 《世界新》
◇女子パラタンデムスプリント ソーンヒル(イングランド) 10.609 《世界新》
◇女子4km団体追抜き 豪州代表 4:15.214 〈大会新〉
◇男子チームスプリント NZ代表 42.822 〈大会新〉
◇女子チームスプリント 豪州代表 32.488 〈大会新〉
◇男子パラタンデムTT スコットランド 1:00.065 〈大会新〉
大会初日、地元豪州勢のゴールドラッシュに沸く!TVはいきなりの世界新記録をとりあげ続けていた。
大会二日目 4月6日(金)
午前の部(13:00~19:10) | 午後の部(19:00~22:00) |
・女子個人追抜き予選 ・女子スプリント予選 ・女子個人追抜き予選 ・女子スプリント準々決勝
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・男子ケイリン予選 ・女子スプリント準決勝 ・男子個人追抜き決勝 ・男子ケイリン決勝 ・女子スプリント決勝 ・女子個人追抜き決勝 |
〔二日目の主な記録〕
◇女子スプリント予選200TT ※モートン(豪州)10.524 〈大会新〉
※モートン選手は過去に日本のガールズケイリンでも4回の優勝経験あり。2018年もガールズで出走予定
◇男子個人追抜き タンフィールド(イングランド)4:11.455 〈大会新〉
◇女子個人追抜き アーチボールド(スコットランド)3:24.119 〈大会新〉
日本のOGKヘルメットを被るノースランドの選手。今大会OGK着用率が高く日本人としては嬉しかった。
大会三日目 4月7日(土)
午前の部(13:30~16:30) | 午後の部(18:30~20:40) |
・男子パラタンデムスプリント予選 ・男子スプリント予選 ・男子スクラッチ予選 ・男子スプリント準決勝 ・男子パラタンデムスプリント準々決勝
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・男子スプリント準決勝 ・男子パラタンデムスプリント決勝 ・男子スプリント決勝 ・男子スクラッチ決勝 ・女子パラタンデムTT決勝 ・女子500TT決勝 ・女子ポイントレース決勝
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〔三日目の主な記録〕
◇女子パラタンデム1kmTT ソーンヒル(イングランド)1:04.623 《世界新》
◇男子スプリント予選200mTT グレーツァー(豪代表)9.583 〈大会新〉
※グレーツァー選手は2018日本の競輪にも参戦
◇男子パラタンデム1kmTT ファチー(スコットランド) 1:00.065 〈大会新〉
2~3競技が終了するたび速やかに表彰式が行われる。(写真右は日本のガールズに出場するNZ代表ハンセン選手)
大会三日目 4月8日(日)
午前の部 | 午後の部(17:30~20:00) |
なし |
・男子ポイントレース予選 ・女子ケイリン予選 ・男子1kmタイムトライアル決勝 ・男子ポイントレース決勝 ・女子スクラッチ決勝 ・女子ケイリン決勝 |
〔四日目の主な記録〕
◇男子1km TT グレーツァー(豪代表)59.340 〈大会新〉
スコットランド代表はスタッフがキルトをはいて登場した。
初めて痛感した世界との競技力の差
今まで大陸規模の国際大会と云えばアジア大会しか見たことが無かったので見るものが全て新鮮でした。先ずは普段我々の使っている松本美鈴湖は1周333m。国際大会のトラックは1周が250m云うことで周回感覚と距離感覚が通常と全く違うこと! 頭が大混乱なまま最初にビックリしたのが団抜きで、記録が3分49秒って日本記録より10秒も違う。そうなると250mなら感覚的に1周回違う感じなので、実は国際大会の団体追い抜きは距離が違うのか?と一瞬本気で思った始末…
次に驚いたのが男子1kmタイムトライアル!この競技って1分切るものなのか?と。普段の長野県大会では1分7秒の±1が一つの自分の基準値で、1分4秒出したらもう素直に脱帽だったのが59秒とは⁉ 計測がミスしたのかと手元のストップウォッチをみたら見事に1分切ってる…。因みに世界記録は「56秒303」だとか。何だか想像が出来ない世界を見て来た気がします…
普段トラック種目の一番わかりやすいタイムの指針として
「200mを11秒台」で走る人を凄い!と心から尊敬してるが
今大会の200m男子のベストタイムが9秒568…って
そりゃ世界新記録だわ。
特に団抜きは、国際大会は
実は1km距離が短いのか?と一瞬本気で思った…。https://t.co/b4LI6Yf1sS pic.twitter.com/p8Mo717PH3— サイクリング長野.com (@cyclingnagano) 2018年4月8日
競技役員のオペレーションについて
競技役員の運営については、流石にUCIエリートレベル以上の方々だったので素人目に見ればシームレスで素晴らしい運営に思えました。各ジャッジ・計測員・記録員・アッシャー(コーラ―@選手を呼び揃える)・フラッグマン/発走機担当者・表彰式担当者など全てにおいて最少人数で全く無駄な動きの無い熟練度を感じました。
また、ポイントは直ぐに結果がスクリーンに反映され、ケイリンもかなり際どいゴール前の判定が何も無かったように順位が映し出される。一体誰がジャッジをしているのか?人間なのか?機械なのか??そのシステムに驚きました。
今大会の競技役員は紺色に水玉のユニフォーム
発走機担当は画像左のボランティアの方だが熟練した発走機さばきを見せた
女子ケイリンの先導員は大会初の女性が務めた
ゴールした瞬間にQが点灯し予選通過者を知らせる電光掲示板。誰が判定しているのか不思議だった…
表彰スタッフも熟練されていて一切の無駄が無いことに驚いた。
システムが違うのだが、パシュート等の手動計時を一人でやっていたのが驚いた
計時の手元にはお馴染み日本の「セイコー システムストップウオッチ 」
こぼれ話
計時の方が、我らがセイコーの「システムストップウォッチ」を持たれているのが印象的で、普段我々が日常で使っている物が大きな大会で使われてることが少し嬉しい気持ちになりました。おそらくこれを読んでくれている選手やチームスタッフ・競技役員の方も一度は使ったことがあるのではないでしょうか?
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このストップウォッチはプリンターがついていて、ラップタイムを採る時に便利ですよね。ボタンを押すたびにスーパーのレシートのような紙にタイムを印刷してくれる優れもの!印刷機と一体型のものと、ストップウォッチと印刷機別型のものがあります。便利なので是非使ってみてください。
実は自分も愛用しているSEIKOストップウォッチ(これは別売りプリンターも付けられる)
トラック競技の感想
前回少し入場料について苦言を呈しましたが、大会自体は三つの世界記録が出たほかにも普段はW杯に出てこれない中堅国の選手も多く出走していてそういった選手達のパフォーマンスを見れたことも勉強になりました。運営はボランティアスタッフ・競技役員共に素晴らしいホスピタリティとスムーズな運営を見せてもらいストレス無く安全に競技を観戦することが出来ました。
総じて素晴らしい大会だったと思います。15年前に始めてチャンドラーに足を踏み入れた日から本当に感慨深い大会となりました。2020年は伊豆でこうした大会を観戦できるように祈ると共にその観戦者の中に自分がいればそれはとてもハッピーなことだと思います。
ここまで読んでいた方に、様々なご意見やご感想を持って頂ければ幸いです。そして、それが読んで頂いた方の自転車コミュニティに良い影響を与えられればと心より思います。
長々とご覧頂きありがとうございました。
今大会一番感動した女子スクラッチで金メダルを獲得したエイミー選手(Wiggle hi5)
次回は、初観戦のマウンテンバイクとロードについて綴りたいと思います。
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