〔レポート〕長野県自転車競技冬季フィジカルトレーニング「SSC・ジャンプトレーニング講座」開催。

冬季トレーニング「自転車におけるジャンプトレーニング」開催

 

 2021年12月12日㈰美鈴湖自転車競技場にて

今年最後の長野県強化選手・中高生選手を対象とした合同練習会

冬季フィジカルトレーニング講習会を開催した。

今回は、長野県代表チームフィジカルコーチの

両角淳平コーチ(赤津整形外科クリニック)を招いて

自転車競技に有効なジャンプを利用した

トレーニング講座を行った。

当日は、全日本シクロ出場組を除く

長野県強化指定選手・中高生選手・各チーム指導者

およそ10名が受講した。詳しくは下記の通り…

 

 

 

トレーニングの様子

 

 

早朝の美鈴湖自転車競技場の走路は凍り付いていた。
美鈴湖には多くのワカサギ釣りの釣り客が訪れていた。

 

最初に座学を行い、今回のトレーニングの説明が行われた。
今回のトレーニングのキーワードは「ジャンプトレーニング」
SSC(ストレッチショートニングサイクル)という身体の機能を
利用したトレーニングを行った。

 

先ずは、何もしない状況で「立ち幅跳び」の距離を計測して
講座前と講座後の記録を比べる。

 

ウォーミングアップを兼ねた簡単なラダー系のジャンプ種目を行う。
この日は簡単なジャンプ運動から、上・下半身を連動させる
複雑なジャンプ運動まで実に30種類のジャンプ運動を行い
縦・横・斜め・捻りを入れるなど様々なジャンプを行うことで
普段の自転車では使わない筋に刺激を入れた。

 

身体が温まって来た所でスタティックストレッチを行う。

 

今回も高校生に混じって、松本工高の椿監督もトレーニングを行う。

 

自身がお手本を見せながら指導を行う両角淳平 長野県代表チームコーチ
初めて行うジャンプ動作をわかりやすく解説しながら講義を行う。

 

両角コーチのお手本に続くのは、2021年長野県成年・少年の
両ロードレースチャンピオンである小山(エクセラン高)と山浦(松本大)

 

前後のジャンプ運動に続いては、左右のジャンプ運動を行う。
今回は美鈴湖自転車学校の大島理彦コーチも講習に参加。

 

高校生達にとっては初めてのトレーニングで負荷も大きくかかる。
最初はワイワイと楽しみながらも、徐々に声が聞こえなくなってくる。

 

10種類のジャンプ種目を3つのグループに分けて行う。
その間に、自身の身体の「身体の柔軟性・バランス・可動域」を確認
長野県代表チームの北澤竜太郎主将はこの表情。

 

トレーニング後半では、やや高い所からジャンプして着地
その反発を利用してジャンプを行うSSCを強く意識したトレーニングを行う。

 

最後にもう一度、立ち幅跳びの距離を計測。
トレーニング後ということもあり
筋肉が疲労状態にあるにも関わらず多くの受講者が
講座前の記録を更新した。これは多数のトレーニング種目を
行なったことで、身体の使える筋など今まで使って
いなかった部分が使えるようになったことや
ジャンプの技術自体も向上したものと考えられる。

 

 

 

 

 

2021年12月冬季フィジカルトレーニング

 

 

自転車競技における『ジャンプトレーニング』の有効性

講師:赤津整形外科クリニック 理学療法士 両角淳平コーチ

 

 ・序章

 -自転車選手も運動能力を伸ばすためのトレーニングを取り入れる時代-
 
  『運動能力が高い = 自転車が上手い』… は本当か?
  自転車の練習だけ取り組むことだけでは不十分? 

  単に転車に乗る運動だけでは不十分な運動要素を取り入れる。

 

 

 ・ペダリングの筋活動

 -長距離選手・短距離選手で使っている筋力に違いがある-
  
  自転車練習のみで筋力を偏って鍛え続ければ良い?
  ライディングのバランスは?主動作筋拮抗筋とは?

 

 

 ペダリングとジャンプ動作の関係

 「ジャンプ前の動作」や「着地動作」について
  股関節・膝関節の伸筋および足関節底屈筋が強く働く。

  基本のスクワットジャンプはペダリングの筋活動を強化できる。
  従って、ジャンプのパターンを増やし、様々な筋を使うことが重要。

 

 

 ジャンプ動作の作用とメカニズムを学ぶ

 -ジャンプ動作の各研究から-

  360度の回転ジャンプ時の着地動作では…
 「内側広筋」「外側広筋」「大腿二頭筋」「半腱様筋」の
 全ての筋で着地時に最大筋活動が起こった。
 参照:「360°回転ジャンプ着地地動作時筋活動」理学療法学2012

 ドロップジャンプの着地では、膝最大屈曲までの時間が短く
 次のジャンプに備えた挙動と考えられ、体幹深部筋と大殿筋の
 遠心性によってより大きな衝撃力に対応していたと考えられる。
 参照:片脚着地地の体幹股関節周囲の筋活動-着地地とドロップジャンプ時の比較- 日本臨床スポーツ医学会雑誌Vol25
 

 

 ストレッチショートニングサイクル(Stretch Shortening Cycle

  SSCとは、強くかつ速く伸張された筋(腱)が、その弾性エネルギーと
 筋内の受容器である筋紡錘の伸張反射作用により、直後に速く短縮される機能のこと。
 このSSCが強く発揮される運動として…

 eg.・ウエイトリフティング ・しゃがんでからのジャンプ運動 ・ペダリングなど

 伸ばした反発を使う運動が挙げられる。

 

 

 ・SSCを用いたジャンプトレーニングの自転車競技における有効性

 ◇自転車だけでは使えない筋を活性化させる。

 ◇SSCが強化され、ペダリングも強化される。

 ◇体感筋が強化される… 特に腹筋が良く動く

 ◇ダンシングスキルが上がる… 
  「踏切⇒空中⇒着地」の一連の運動動作の中で
   大小多くの筋が働きながら体勢をを保つため
   バランス能力が養われる

 ◇身体の左右のバランスが整う…
   特にトラック競技では、身体の支え方が偏りやすい。

 結論として、ジャンプトレーニングは自転車競技に有効性が高い

 

 

 ・ジャンプトレーニング実践

  30種類のジャンプメニューを10種類ずつに分けて3セットずつ行う。
  例)スラロームジャンプ、ツイストジャンプ、360度ジャンプ、パラレルジャンプ他…

 

 

大会や学校行事等で講座に参加出来なかった皆さんへ
今回の資料を頂いてありますので、必要な方は問合わせて下さい。
また、次回の冬季フィジカルトレーニングは
年明けの1月頃を予定しています。

 

 

 

 

【過去のフィジカルトレーニング講座】

 

 

 

講師・スタッフ紹介

 

 

両角 淳平(赤津整形外科医院)

 長野県代表自転車チームのフィジカルコーチで、主に国体の長野県代表チームを担当。理学療法士として幅広い見地から選手にアドバイスを行う。山本コーチと共に、ここ数年の小出樹選手(現京産大)、堀江省吾選手(現競輪選手会)等の入賞・長野県代表の躍進に大きく貢献。長野県代表選手からの信頼も厚い。昨年末から県代表チームの強化に加え、「育成」「普及」を主旨とする美鈴湖自転車学校にも参加して頂いた。

 ※理学療法士
   ※長野県代表チームフィジカルコーチ
 

 

 

宮﨑 岳人(長野県代表チーム監督)

 第51期競輪選手として活躍、引退後に長野県代表自転車チームの総監督ならびに、長野県自転車競技連盟強化委員長に就任。2018年福井国体では2名の入賞者、2019年の茨城国体では準優勝者1名と、ここ数年の長野県代表チームの活躍を牽引している。昨年より長野県連盟主催のトラッククラブチーム「美鈴湖ベロクラブ」を立ち上げ、県自転車競技の底辺拡大と若手人材の育成を行う。

 ※長野県代表チーム総監督
 ※長野県自転車競技連盟 強化委員長

 

 

今回は、今年最後の

長野県強化選手ならびに

中学生・高校生自転車選手を

対象とした合同練習会を開催しました。

昨年から12月には

こうしたフィジカルトレーニング講座を

開始しましたが、毎回非常に為になる

講義が行われています。

コロナの今後の状況もありますが

今後ぜひ、長野県の自転車指導者の

皆さんにも、こうした講義を受講して頂き

県内各チーム・各競技間での

底上げが出来ればと思っています。

来年は1月開催予定だそうです。

詳細が決まり次第お知らせ致します。

 

関連LINK

赤津整形外科クリニック

長野県自転車競技連盟

長野県スポーツ協会



 

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