「松本情報工科専門学校スポーツバイシクル学科」JCF3級審判講習会開催レポート。
長野県唯一の、自転車専門学科を有する
松本情報工科専門学校スポーツバイシクル学科にて
JCF(日本自転車競技連盟)公認3級審判講習会が行われました。
長野県内での一般審判員講習会・試験は
例年11月に開催されていますが
同校で、審判員講習会が行われるのは初めてで
新入生17名が、JCF規程の7時間の講習を受講し
修了試験を終え、無事全員が合格。
晴れてJCF公認審判員のライセンスを取得しました。
詳しくは下記のとおり
【昨年の審判員講習会】
講義の様子
長野県内で唯一の自転車専門学科を有する
松本情報工科専門学校
松本市のJR来た松本駅前にある。
スポーツバイシクル学科は2年制で
自転車整備士の資格等が取得できる。
自転車の寸法に関する規定に関する説明。
今年に入り数回規程が変更になっているが
メカニックや自転車メーカーに就職する人にとっては
大きな問題tとなってくる。
7時間の講義が終わり試験に臨む生徒さんたち。
講義内容
JCF3級審判員講習会 松本情報工科専門学校 講師:伊藤清朗 長野県自転車競技連盟審判委員長(JCF1級)
・自転車競技公認審判員について
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〔2023年に入ってからのルール改正〕
講師
伊藤 清朗
2019年で定年となった小林秀一前審判委員長のあとを引き継ぎ
2020年シーズンより長野県自転車競技連盟審判委員長に就任。
昨年に引き続き講習を行った。
〔JCF1級審判員〕
奥原 進治
長野県自転車競技連盟副理事長
ここ数年は、主要大会へ審判として従事するほか
長野県内の大会運営や長野県自転車界の事務方
としても多忙を極める。
〔JCF1級審判員〕
今回の開催にあたって
今回、JCF3級審判員講座が初めて
松本情報工科専門学校の学生さんを対象に行われました。
この開催の背景には、松本情報工科専門学校と
長野県連盟の橋渡しとなってくれた
二人のスポーツバイシクル学科OBの
尽力が非常に大きかったことを御報告します。
それは2022年の春に卒業した
寺島桜汰さんと、大前龍太さんらの存在です。
覚えている方も多いと思いますが、
2020年のコロナ全盛期の時に、
インターハイが中止になりました。
そこで全国各地で、高校3年生を送り出す
インターハイ代替大会が催されました。
2019年の審判員試験を受ける寺島桜汰
寺島は長野県美鈴湖自転車学校でも
子供達の講師としても活躍した。
現在は愛知県の自転車店でメカニックとして勤務
しかし、コロナの全盛時に開催は決定したものの
世の中の殆どの会社などが、こうした大会への
審判員・競技役員の派遣を渋り、長野県における
高校代替大会の開催は審判・役員不足というカタチで
窮地に立たされることになりました。
コロナ禍のど真ん中でインターハイが中止となり
急遽開催されることとなった代替大会。
その窮地を救ってくれたのが、松本情報工科専門学校
スポーツバイシクル学科の皆さんでした。
前年2019年に公認ライセンスを取得した
寺島桜汰さんが、学校内に声をかけてくれたおかげで
競技役員が集まり、2020年の長野県高校代替大会が開催されました。
2020年長野県高校自転車代替大会の
競技役員を担当してくれた
松本情報工科専門学校スポーツバイシクルの
生徒さんたち。
それが縁となり、同年にライセンスを取得した
大前龍太さんは、競技場電子計時オペレーターとして活躍。
国際大会であるUCI Rapha SUPER CROSSのほか
TOKYO 2020ではコントラクターとして
主にパラリンピックロードレースの役員として活躍してくれました。
審判ライセンスを取得後、全国大会・国際大会でも
審判として活躍した大前龍太は全国の審判員からも
一目置かれる存在となりTOKYO 2020 パラリンピックにも招集され
その執務は現場でも高く評価された。
現在は愛媛県の自転車店にプロメカニックとして勤務する。
彼らとは、遠征へ行く際など
本当に長い時間、良く話をしたのですが…
彼らの意見として
専門学生の学校生活は、僅か2年であること。
だから、出来得るのであれば
新入生として入学した直後に
審判ライセンスが取得出来れば
1年生の春から審判ライセンスを持つ者として活動出来る。
単なるボランティアと違い、ライセンスを持っていると
自転車の現場に行った際の扱われ方も違い
現場でも一目置かれる。
そうなると人間関係や信頼も変わって来るし
得られる経験も違ってくる。
待遇面でも審判となれば交通費や日当も支払われる。
だから、出来得るのであれば学生にとって
出来るだけ早い時期に審判ライセンスを
取得の機会を与えて欲しい。
と訴え続けてくれました。
その想いを、県連盟・専門学校の双方が
くみ取ってくれての今回の開催となったと思います。
今回の初開催の裏には、大人達では無く、次代を担う
「若者たちの想い」と、その「遺産」があって
開催されたということを
しっかりと書き置きたいと思います。
という訳で、長野県自転車界の
歴史上で初となる
単独校での審判講習会が
開催されました。
当サイトとしては
二つのことを書き残したいと思います。
一つに今回ライセンスを取得した
学生さんたちへ…
皆さんは、今日からJCFの公認審判員として
自転車界の人間から見られます。
ライセンスを持つということは
その道のスペシャリストとみなされます。
なので、これからも常に自転車界に対する
探求心を忘れずにいて下さい。
当サイトもそうですが、自転車に対して
質問を沢山うけるのですが
スペシャリストが何も答えられないことほど
格好悪いことは無い。
ライセンス取得はあくまで机上のことです。
これから審判に限らず、現場で様々なことを
経験してそこから学んで行ってください。
自転車界における殆どの事象は
誰かが教えてくれた知識だけでは
到底足りません。自分の経験からこそ
モノを語れるような存在であって欲しいと願います。
二つ目
若い人材を使おうとするする
イベント主催者や、競技関係者
行政関係者へ…
サイクリングイベント関連は、殆どが営利活動です。
志ある若者を、過酷な条件でタダ働きさせるなど
若者を消費しないで頂きたい。
自分がオリンピックで感じたからこそ
強く言いたいことは
技術のある人間には、何らかしらの
対価をしっかりと払ってやって欲しい。
それが出来ないのであれば
若者たちに対してどこまでも
誠意と感謝・愛情を持って対応して欲しい。
学生は金銭的にも生活が厳しい。
彼らからみたらアルバイトを1回
削って来てくれる。
それがどういうことか?
大人たちは、しっかりと認識して欲しい。
イベントで、彼らを使いっぱなしにして
それで、若者たちに体験をさせてやった!
などと思いあがっているようならば
その土壌からは残念ながら若者は育たない。
若者に限らず人は離れて行くだけだ。
それを強く肝に銘じておいて欲しい。
それは、営利でやっている
長野県内のサイクリングイベントしかり
非営利でやっている自転車競技会もしかり。
そして、これを書いている自分もまたしかり。
声を大にしていいたいのは
善意で来て下さる方々はモブでは無い!
成長性のある若者やボランティアこそ
対価を渡しているプロ以上に大切にして
そこに「お金」や「愛情」を持って育てて欲しい。
これをビジネスにおいては投資といいます。
そうしないと自転車界は
今後も今までと同じ状況が続くだけ。
今回のこの講習会には
沢山の「人の想い」と「尽力」がありました。
その心ある人の想いを紡ぎ続けて欲しいと
切に願っています。
最後に…
この週末の自転車学校、ならびに
専門学校さんの若者たちを見ていて
長野県の新しい時代の胎動を確かに感じました。
若い子たちは、本当に次代への希望です。
こうした新たな動きが少しずつつ
広がって行けばと願ってやみません。
今回の開催実現に奔走して下さった皆様と
専門学校の関係者の皆様に
心より御礼を申し上げます。