〔レポート〕長野県内の「一人部活」・「少数部員」の高校自転車部の合同練習会を行いました。

〔レポート〕「一人部活」・「少数部員」の高校自転車部の合同練習会開催

 

 

 2023年7月22日㈯の17時より

長野県内の高校で「一人部活」ならびに

「少数部員」「指導者不在」で活動している

高校生1年・2年生たちの合同練習を行いました。

 

 

今までそうした生徒たちは

長野県育成「美鈴湖VELOクラブ」で

練習を行っていましたが、ここ一か月ほど

「Jrオリンピック」があり中学生の練習が優先され

高校生の練習が後回しになっていました。

 

 

そうした状況下で「一人部活」「少数部員校」の生徒たちから

「Jr.五輪も終わり、そろそろ俺たちの練習をやってくれませんか!」(怒)という

熱いメッセージをもらい、この土曜日に練習を行いました。

 

 

 

 

練習レポート

 

 

 今回は、先月の「北信越大会」でのレポートから始まり

長野県の高校生たちが、いかに北信越大会で戦って

インターハイへの出場権を勝ち得たか?

いまの3年生が1年生の時はどうだったか?

2年・1年でインターハイへ出場した

山田や松村が中学生の時どう練習をしていたか?を話し

 

 

それを踏まえて

「一人部活」「少数部活」「指導者不在」と様々な面で

不利な状況である自分たちが

それを覆してインターハイに出場するためには

何を行うべきなのか? 

 

 

学校からの理解も乏しく、部費などの予算も無い、

OB含めどこからの支援も無い、試合用の機材も「ゼロ」。

 

 

圧倒的不利な状況かつ、なかなか勝ち目が無い状況下で

自転車を続ける意味は何か?自分たちの目指すゴールとは何か?

そこから強くなるにはどうしたらいいのか?

 

 

美鈴湖VELOクラブの中学生でも暗示させている

「個々の具体的な目標」を示し、そのために

どんなアプローチをして行くか「考える力」を

テーマに、練習前に30分近く話し合うミーティングを行いました。

 

 

※インターハイ長野予選が終わった際に少し時間がたってしまったため
 この後、自分は競技とどう向き合うか?
 「インターハイを目指すのもあり」「楽しく自転車をするのもあり」「辞めるのもあり」。
 その多様性の全てを認める。ただし、競技を目指すものは
 それなりの練習を行うし、合同練習は
 しっかりと練習して欲しいと敢えて厳しく話していた。

 

 

また、この二か月で高校生たちの

体形が大きく変わっており、

自転車学校のレンタルを一度全部シャッフルして

ほぼ全員が自転車を乗り換えての練習となった。

 

 

この日はアルバイトで不参加の子を除いて4名が参加
また今年初めて湯原コーチが19時から指導を行った。

 

湯原コーチが先頭を引っ張りながらペース走を行う
かなりのスピード域になり体力差が如実に表れ
ついて行けない者もあらわれた。
途中で大雨が降り一時練習を中断した。

 

1㎞・3㎞の計測をしたほか、彼らにはリモートで
事前に「自身のラインを保持する」という基本を
動画で学ばせ、競走の基本的な理論を理解させ
この日からは具体的な競走の練習を開始した。
2人で車間を空けて、後ろから先頭選手のスリップを使い追抜く練習

 

 

 

競走の基本的な考え方とこれからのこと。

 

 

 夏のインターハイ長野予選・北信越予選終了後

育成の「美鈴湖VELOクラブ」が、

ジュニアオリンピックモードになり

中学生優先モードとなってしまったなかで… 

 

 

「一人部活」の選手「少数部員校」の選手のなから

競技を真剣にやって行きたいということを

自分から言ってきた生徒に対しては

二つのことを求めました… 

 

 

一つは、日々「練習日誌」をつけること。

記載方法は自由だが、どんな練習をして 

どんなものを食べたか?、出来れば睡眠時間も。

そして、その日の感想や、怒ったのか?笑ったのか?

詳しく書くことを求めました。

 

 

二つ目は、自転車競走における

もっとも重要なことであるルール学習

とりわけ 「自身のラインを保持する」という

高校自転車において、最も多い反則かつ

レースを安全に行う上で最も大切なことを

Youtubeの動画を利用して学習させた。

 

 

(参照元:Youtube/高体連自転車競技専門部

 

彼らには、VELOクラブがJr.五輪モード中になり

なかなか練習が出来なかった中で

メールを数回送り以上の二つのことを奨励した。

 

チェイシング練習のなかであった一コマ
この写真を見てどこに反則があるのか?
改めてYoutubeの動画と写真をみながら説明を行った。

 

さらに、生徒たちに強く訴えたことは

本人たちも気づいていることだが、

前筆のように、これから先も

「一人部活」「少数部員」の自分たちを

助けてくれる人は限りなく少ない。

 

 

これを書いている自分も残念ながら

毎日練習を見てやることは出来ない。

 

 

ではどうするのか?

 

 

そうしたなかで、強くなりたいいならば

楽しく自転車を続けたいのであれば

「自分で何とかするしかない」。

 

 

恵まれていないからこそ、誰も助けてくれないからこそ

「常に自分で何をすべきか考える」ことなど

基本の心構えのほか、物事の考え方を

厳しく生徒たちに伝えました。

 

 

また、技術面では湯原コーチによる

「呼吸法」「車間のとりかた」

「前方選手の追抜き方」「スタート時の体重移動方法」など

実戦的な技術を細かく教わりました。

 

今後も夏休みの期間、合同練習を

行えるように調整をして行きたいと思います。

 

 

今後ですが、美鈴湖VELOクラブとは別に
「一人部活」「少人数校」「指導者不在」の高校生を
どうにか救い上げて行きたい。

 

 

 

実は先週も1件あったのですがここ数年…

「僕も高校で自転車をやりたいのですが…」とか

「自転車をやりたいのですが僕の学校に自転車部がないんです…」という

相談が当サイトへ寄せられます。

 

 

その声に対応していたら、いつの間にか

三つの学校の外部コーチ?になってしまい

気付いたら8人の生徒を預かる立場になっていました。

 

 

 

これまで自分は…

 

 

小・中学生の自転車が好きな子たちを

しっかり育成することで

高校入学時にはもう

最低限レースに出場する技量を

持たせることが、長野県全体の

自転車レベルを最短で上げる最低限の方法

考えていましたし、事実ここ数年

そうしたシステムを作って来た訳です。

 

 

そして、今年の松村竜誠(駒ヶ根工)のように

高校1年生にしてインターハイへ行くような

人材が出始めています。

 

 

自転車競技は、野球やサッカー

ピアノやバレーのように幼少から

やり続けていないと大成しないという類の

スポーツでは無いのですが…

 

 

もしかすると近い将来

少なくとも長野県の高校自転車で

インターハイに行くには

「高校から自転車を始めるのでは遅い」

という時代が来るかもしれません。

 

 

ただ、その風潮がもたらす

弊害というのも感じ始めています。

 

 

長野県には「サイクリング長野」という

実に余計なホームページがあってそれを見て

高校生になってから

自転車を始めたい!という子が

非常に多くなってきています。

(誰かそろそろあのページ止めさせてくれ)

 

 

そして、子供達の声というのは

高体連では無く、自分に届く訳です。

 

 

正直、この「遅れて来た子」たち

「一人部活の子」たちというのは

少なくとも現状では

既にかなり不利な状況にいます。

 

 

それでも、わざわざインターネットの

向こう側にいる見ず知らずの自分の所へ

「自転車をやりたいです!」

「インターハイへ行きたいです!」

と言ってくる子たち、一人ひとりの

情熱というのは本物だと思います。

 

 

そして…

 

 

このサイトには

その情熱に応える義務がある。

と思っています。

 

 

一方で、「学校から自転車は認めない」
言われてしまいました。というケースもあったんですよね。
そういう子にどんな声をかけていいのか?解らなかった。

 

 

再三になりますが、高校スポーツは

既に何が何でも甲子園

何が何でもインターハイという

時代では無くなっています。

 

 

部活動も「勉強」「部活」

「友達付き合い」「バイト」全て

バランス良くやりたいという子が

多くなってる気もします。

 

 

この先の未来で、こうした

「新しい価値観を持った子」や

「遅れて来た子たち」を

どう指導して、どこへ導いてやるのか??

 

 

これまでの長野県を見て来て思うのですが

この先、長野県が少しずつ

自転車が強くなってきたら、

間違いなくVELOクラブ出身以外の子は

誰も興味を持たなくなり

「遅れて来た子たち」は黙殺されるのが

容易に想像できます。

 

 

高校自転車については

様々に思うことがあるのですが…

 

 

それよりも、直近の不安としては、

自分たちが作って来た育成のシステムが

これからの「高校ブカツ」の未来や

「子供達の可能性」「違う価値観を持った人材の台頭」を

阻害しないか?とても不安になります。

 

 

この週末、ひた向きに走る彼らを見ていると

大きな課題をもらっている気がします。

 

 

あと、これ全部

ボランティアなんですよ。 

 

 

いまスポーツ庁で高校スポーツも

地域クラブへみたいな風潮があるのですが

よくよく読んでみると

地域社会がボランティアで行うことが

前提みたいな書き方なんですよね…

 

 

先生たちのボランティアから

地域の大人たちのボランティアへ… 

 

 

負担と責任のたらいまわし。

 

 

これが暗示するものは

日本のスポーツの破綻ですよね。

最近、有名な起業家やインフルエンサーが

予知する通り

 

 

遠くない将来、スポーツは面倒くさいモノになって

最終的に誰もやらなくなる。

そうなった時の社会福祉コストが

莫大なモノとなり国家の負担となる。

 

 

やはりスポーツ界の課題は大きいと

感じた所で高校合同練習のレポートでした。

 

 

今日の巻末は、少しスポーツをとりまく

大人たちへの提言みたいなことを書きましたが

 

 

少なくとも、俺がサイクリング長野を始めた時、

本当に「自転車やる子いませんかね?」

「審判やってくれる人いませんかね?」と

方々へ聞いて歩いた時のことを忘れません。

 

 

今は、おかげさまで沢山の子供達が

自転車を志してくれるようになった。

今年は長野県全体の新入生だけで20人とか

以前の長野県全体で4人という時代が

嘘のような状況になっています。

 

 

そこには「自転車や機材不足」・「指導者不足」やら

様々な課題があるけれど 

 

 

やっぱり当サイトは

じり貧の状況とその悲哀を強く味わっているので

小中学生・高校でも35歳過ぎたマスターズでも

自転車やりたいと言って来てくれる人を

心から有難いと思います。

 

 

高校生で自転車をやりたいと思う方は

これまで通りに気軽に連絡してもらえればと思います。

 

 

そして、今後は高校野球同様に

こうした「一人部活」「少人数部活」の子達を

【連合チーム】として、互いに刺激し合いながら

練習できるようなシステムの確立を

目指して行きたいと考えています。

 

関連LINK

令和4年インターハイ公式HP(高体連)

全高体連自転車専門部

長野県高体連

長野県自転車競技連盟