もくじ
信州が世界に誇る唯一無二のヴィンテージ 自転車店「信州小諸・浅麓堂」に行ってみた。
さて、コロナの年の「夏休み特別企画」ですが
もう今更ながら… かも知れませんが、信州が世界に誇る
ヴィンテージ自転車の名店、小諸市にある
RETRO CYCLES 浅麓堂さんへ
自転車界の次代を担う若い子達を連れて行って来ました。
もうこの世界では有名過ぎると云うよりは
もはや神格化されていて…
「サイクリング長野」のような、自転車界のぺーぺーが
取り上げて良いのか?取り上げたらビンテージ自転車業界から
ガチで苦情が来るのではないか?? 戦々恐々ですが…
以下レポートです。
「信濃の魔窟」浅麓堂訪問レポート
浅麓堂をgoogleで調べると…
数多くの記事が出て来ると共に
「信州の魔窟」「魔界への扉」と出てきます。
それは、底の無いヴィンテージ自転車の世界への入口。
多くの人が畏れをもってそう評します。
とにかく、古い自転車のパーツ等は
とりあえずここにくれば、国内外のモノを問わず
その殆どが揃っている。
ある人は言います、サイクルモードへ来るより
ここへ来たほうが100倍おもしろい…
全国から数多くのヴィンテージ自転車ファンが訪れる。
まるで隠れ家のように、閑静な住宅街にひっそりと佇む一軒家。
しかし、中は自転車やパーツが溢れる。
自転車のバーツだけで無く、過去のツールドフランスのピンバッチや記念品も多数…
既に廃刊となった過去の貴重な書籍も多数ストックされている。
日本一とマニアに評されるヴィンテージパーツ数で
某メーカーが自社の昔のパーツを買いに来るほどの品揃え。
このお店自体が、もはや長野県自転車博物館。
車輪の外径に当たる「リム」も古今東西様々な形式・形状のものが揃っている。
(因みに倉庫にもこれ以上の在庫がある…)
自転車業界のひよっこの自分には、どれ程の価値があるのか解らないが
レトロファンを一緒に連れて行くと、皆一応にテンションが高い。
かつて、プロレスラー「力道山」愛用の自転車があった時に
自転車よりもプロレスファンの自分としてはコレは凄い!と思ったが…
はてさて、それにどの位の価値があるのか?あまりに凄すぎて解らなかった。
ここには、そうした過去の有名人愛用の自転車もやってくる。
(因みにこの日の最高額はJCFマークを作った画家:加藤一氏の自転車※※※万円!)
因みにこの日、同行した人間はこの箱の中のモノに「おぉぉぉぉ!」と反応していたのだが
残念ながら、自分にはこれが何のパーツなのか?解らなかった…。
2018年に、堺の自転車博物館に
浅麓堂の自転車が展示されていると
連絡を受けて行ったら
浅麓堂の自転車は…
先日、信州にお帰りになりましたと。
その時の自転車、この日はちゃんと
浅麓堂で見ることが出来ました。
浅麓堂 中堀剛氏
中堀 剛(浅麓堂) 1957年長野県生まれ、信州大学サイクリング部出身。自動車メーカーでエンジニアとして従事後、小諸市で「レトロサイクル浅麓堂」を営む。一昨年の長野県自転車競技連盟主催美鈴湖自転車学校立ち上げの際には、惜しみない機材提供で自転車界の底辺拡大と競技力向上にも尽力する。元月刊「ニューサイクリング」編集顧問。 著書に「私が愛した自転車パーツ」の他、「THE GOLDEN AGE OF HANDBUILT BICYCLES」(日本語版監修)
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中堀氏とサイクリング長野
自分が自転車界に足を踏み入れた頃…
既にご存知の通り、長野県内の自転車関係者の中で
自分と云う存在と、まともに向き合ってくれる人は
殆どいませんでした。今は笑える話ですが
自転車店に行っては門前払いを喰らい…
当時の自分は「相当怪しい人間」だったそうです。
そんな自分が、美鈴湖自転車学校を立ち上げようとした時に
最初に味方になってくれたのは、県車連の小林秀一前審判長、
東京都自転車学校の松本敦副校長。そして、浅麓堂の
中堀剛氏でした。
最初、自転車学校をやろうにもレンタル出来る
ピスト自転車が無い!これでは、誰もが気軽に
美鈴湖自転車競技場を走ってもらえない…
しかし、どこの馬の骨とも解らない
自分に協力してくれる自転車店は全く無かった訳です。
そんな状況下で、中堀氏は「とにかく自転車に乗る人を増やしたい!」
「自転車学校や、競技場を訪れた人が気軽に乗れる自転車が欲しい!」と言う
自分の一方的な訴えにひとしきり耳を傾けてくれた後
「よし!よく解った!」と言って協力を約束してくれました。
それから数か月後…
約束の自転車が1台入ったから取りに来い!!と電話がありました。
喜び勇んで、自転車を取りに行くと、そこにあったのが…
紫のブリヂストンのピストフレーム。
あまりにピカピカなので、恐る恐る
中堀氏に「お金はいかほどお支払いすれば…」と
尋ねたところ…
中堀氏は
いらん!いらんよ!!
これはヴィンテージには新しすぎる!
ウチでは売り物にならないから持ってってくれ!
持って行って、これから自転車に乗る人達に
気軽に乗ってもらってくれ!!
と、このフレームを持たせてくれました。
それは今から2年前のことです。
もう心の中は、涙が止まらなかったですよ。
自分がその時、どんな顔をしていたか知る由も無いですが
そんな自分を見て、中堀氏が満足そうに頷いていたのを
忘れられません。
その時に強く思ったのが
忘れんぞ!今日と言う日を 俺は決して忘れまいぞ!!
今でもその日のことが鮮明に
胸に焼き付いています。
その後、この自転車には
県内の沢山の方がパーツを提供して下さり
三重車連の日比審判員(プロメカニック)により
レストアされて、今日の自転車学校で使用されています。
(先日の自転車学校でも貸し出され長野大の橋本選手が利用する:画像右)
さらにその後も、現在までの約2年で5台のフレームを
無償で提供頂き、自転車学校で始めてピスト自転車に乗る
受講者用に使わせて頂いています。
おそらく、ヴィンテージ自転車界のマニアの方から見れば
自分がおいそれと口を聞いていいような人間では無いのかも知れません。
しかし、中堀氏は本当に気さくな方で、自分のような
ド素人の一方的な意見も聞いて下さり、快く自転車を提供して下さいました。
最近では、その豊富な知識に触れさせるため、長野県内の若い子達の中で
自転車を志す人間を一緒に連れて行くのですが、何時も惜しみなく
様々なことを教えて下さいます。
さて…
もう県の先輩サイクリストの皆さんには
色々と紹介するのは野暮かも知れませんね。
今日はそんな、日本を代表する
信州の偉人のご紹介でした。
今年から美鈴湖自転車学校のバナーを備品に付けていますが
浅麓堂を真ん中にしたのは、実はそんな感謝の現れからです。
浅麓堂へのアクセス
RETRO CYCLES 浅麓堂
〒384-0801 小諸市甲1457-12
電話番号:0267- 22 -4006
営業時間10時より(来店の際は連絡を…)
浅麓堂、本当に閑静な住宅街の中にポツンとあるので
市外から来る方には非常に解りにくいかと思いますが
是非、一度は訪れてみて下さい。
と云う訳で、若い衆にせがまれて
浅麓堂へ行って来ました。
中堀さんは自転車と云う造形物を
アートとして捉えている方です。
もちろん、自分が足元にも及ばない
サイクリストですが、同時に
自転車界の芸術家でもあります。
自分のような自転車界に来て5年目の
幼稚園児が、諸先輩を差し置いて
長野県自転車界を我が物顔で語ることに
常に恐怖心と違和感を感じます。
それでも、中堀さんのような
日本自転車界の生き字引の存在に
褒めてもらえば、それは凄く
励みになります。
返す返すも自分が、聖地を
語ることは憚れる部分がありますが
引き続き、自分と信州自転車界の
若手に様々なことを教えて
もらえればと思います。
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